奥の細道の中で『衰えて 歯に食いあてし 海苔の砂』とあります。芭蕉が詠んでいるのは、歯周病で食事が満足にとれず衰えを感じた句です。
また、江戸後期の有名な俳人に小林一茶。『やせ蛙 負けるな一茶 ここにあり』の句で有名ですが、この一茶、晩年は歯がすべて抜けてしまったようで、歯が抜けた不自由さをこんな一句にしたためています。
『歯が抜けて あなたた頼みも あもあみだ』
歯が全部抜けてしまい、さすがに心細くなったのでしょう。「南無阿弥陀仏」の仏の慈悲にすがろうとしたのですが、「南無阿弥陀仏」を歯がないため「あもあみだ」としか発音できなかったというちょっとジョークの入った句でした。ちなみに一茶の歯が丈夫な時の俳句は、『はぎしみの拍子のなり きりぎりす』で、江戸時代にも歯周病で悩んだ人も多かったことには驚かされました。